Vol.1 戸田 光海さん(旧姓 高橋)

卒業年月 2005年3月(2004年度)
所属 藤田保健衛生大学病院 特別室(全科病棟)

 

 

 私は大学を卒業後、愛知県の藤田保健衛生大学病院、全室個室の特別室病棟に就職しました。金銭に余裕のある人、静かな環境で生活したい高齢者や精神科の患者さん、最期を家族と過ごしたい終末期の患者さんなどが入院し、21床の個室に対して16人の看護スタッフが働いています。日中の患者さんの受け持ちが 5人程度と少なく、患者さん一人一人の希望に沿った看護を展開することが出来ます。また全部の科の患者さんが入院しているため、幅広い知識や経験を得ることが出来、合併症を持つ患者さんへの対応が十分に行えます。しかし、専任の医師は居らず、治療は各専門病棟の医師が担当している為、緊急事態への対応に優れていません。管理が難しい患者さんは専門病棟へ転棟していただいており、救急看護の実践能力は身につき難いと思います。

 私は千葉県出身で、愛知の方言や地名、食べ物に関して全く分かりませんでしたが、それが逆に話の種になって、患者さんとの話が弾み、知らない土地でも苦なく過ごせています。働き始めて約2年、まだ自分の看護師としての目標は定まっていません。しかし、患者さんとの関わりから得られる悩みや喜びは、私の人生を豊かにしてくれています。今は、今よりももっと患者さんの安全と安楽を守れる看護師になる事を目標に、この病棟で働き続けようと思っています。


Vol.2 小木曽奈々さん

卒業年月 2005年3月 看護医療学部1期生
所属 キヤノンマーケティングジャパン
安全衛生課 健康管理室

 

 企業の健康管理室で保健師として働き始め、3年目になります。会社の中で働くということは、いち組織人として経済活動に携わるという面白さとともに、看護職として、病気を予防する観点で仕事ができるというやりがいを感じています。

 インフルエンザなどの感染症、メンタルへルス、メタボリックシンドローム対策など、社会的にホットなトピックや、個人情報保護法、労働基準法改正など日々めまぐるしく変わる法律などに対応して仕事をすることが求められている仕事でもあると思います。社員と上司、社員と人事など、人と人とのコーディネーターとして、あるいは会社の繁栄に貢献する組織人として、まだまだ学ぶべきことは山積みだと感じています。


Vol.3 神田 純子さん

卒業年月 1994年3月 慶應義塾看護短期大学 4回生
広島大学医学部保健学科卒
第一勧業銀行入行 人事企画部健康管理室 配属
みずほフィナンシャルグループ 内幸町健康管理センター 退職
現在 業務委託を受けて個人で保健師として在宅ワーク中

 

 

 私は現在、3人の子供を育てながら某銀行の関連会社から業務委託を受けて在宅で仕事をしています。保健師が在宅で何が出来る?と思われるかもしれません。具体的な内容は、企業の健康保険の加入者の相談業務です。健康保険組合からの重複受診・多受診などの情報や、持病などの個人情報をもとに健康相談を行い、最終目標として健保の無駄遣いを減らし、加入者の健康寿命をのばし適切な医療を受けてもらうことが主な目的です。電話での対応なので自宅で電話とパソコンがあれば在宅でできます。3人の子供との時間を長くとろうと思っている私にとっては丁度よい仕事量です。このようなアプローチ方法は元々強いニーズを感じていない対象者への働きかけとしては手軽で効果が得やすく、現実的な方法と思われます。また、対象者にとっても日常の環境の中でリラックスした状態で話すことが出来るメリットがあります。主治医に聞けなかったこと、薬のこと、セカンドオピニオンのこと、家族の介護のこと、自身の疾患のこと、など内容は様々ですが私との相談は他にはない窓口として感謝されることがとても多く、やりがいがあります。不必要な受診行動には知識不足や主治医とのコミュニケーション不足が原因のことがあります。ほんの少しのアドバイスでよい選択ができるようになるのです。
 さて私の慶應を卒業してからのあゆみについてですが・・・いわゆる普通の学生でした。
 漠然と病院に勤務することよりも病院に来ない人の健康についてもっと知りたいと思ったことがきっかけで広島大学医学部保健学科に入学しました。大学では健康科学・ストレスコントロールやスポーツ健康学などに興味を抱き、学びを深めました。ボクシングのリングサイド救護や様々なスポーツの試合の試合前のフィジカルチェックなどや地域医療や学校保健の現場などたくさんの経験が出来ました。卒業後は某銀行に入行し人事企画部健康管理室に配属され行員の健康管理を行っていました。銀行業務とはかけ離れた部門です。営利目的の企業にとって直接利益をもたらさない福利厚生的な意味合いが強いと思っていましたが、当時の人事部長からこのようなお話しをいだきました。「ここに勤めている数万人の社員の健康を守ることが銀行の利益につながります。病気や様々な原因で勤務できない人が数百人います。是非この方たちの助けになり、健康でいきいきと働ける職場となるよう貢献してほしい」と。企業の利益に直接関係ないなんて思っていたのは間違いでした。人の健康=企業の利益、なのです。担当支店を受け持ち全行員と問診し、必要な人に保健指導を行います。法律に基づいて衛生管理が成されているか、行員の健康状態がどうかなど支店長席で講評を行います。担当保健師がいることで何か相談事があると必ず連絡が来ます。常に頼りになる存在でいられるようにスキルを磨いていた日々でした。育児を機に退職しましたが、当時の上司が関係会社へ転籍し現在の仕事の依頼をいただき細々とですが10年程経ち現在に至ります。
 ご存知の通り、高齢化社会がどんどんと進んでいき、医療費が莫大になり国の財政や健保の財政はますます逼迫していきます。最近は様々な認定資格や健康にまつわる資格がたくさんできましたが、保健師の独自の機能をいま一度深く考え、「個人の幸せ=社会の幸せ」となる理想を具体的に形にすることが必要ではないかと考えます。月並みですが私の業務がささやかながら「個人の幸せ=社会の幸せ」の一助となれるよう、日々精進したいと思っております